この汽車の運行を任せる運転手や乗務員を乗客みんなで選ぶことになっていて、運転手希望のものがチラシのようなものを乗客に配り説明している。
現在の運転手のジミーくんは、また選ばれると思っているのか、余裕の表情でいるが相次ぐ不祥事で乗客はどう判断するかわからない。チラシには約束は具体的なことは何ひとつ書かれていない。あるのは、この汽車を「美しい国」に向かうのだということだ。美しい国とはどこなのか、いつ着くのかはわからない。
副運転手のミーシュくんは乗客の生活が第一と言っている。ジミーくんに次ぐ信頼を持っていて、チラシにはとても良いことが書いてあるがどこまで実現できるのかは不明だ。
シャーミンさんは乗客の安全と保証を一番強調している。
キョーサくんは乗客の環境と安全を常に語っている。
コウミョウくんはジミーくんと仲がいいのでいつも一緒に行動している。コウミョウくんは運転手ではないのにおいしい汁を吸っているようだ。チラシには汽車の行き先に責任を持つと書いてあるが責任はジミーくんがいつもとっているように思える。
コクムくんは最近乗り込んできた。「汽車を変える。夢と希望を持てる運行作り。」と掲げる。果たしてどこまでできるのかは不明だ。
シントーニくんは、かつて小さな列車の運転手をしたことがあるが様々なことがあり、交代してしまった。そして最近コクムくんと同時期にこの汽車に乗り込んできた。「自分には答えがある」とチラシに書いてあるが何が答えなのかわからない。
乗客は、この中から、運転手を選ばなければならない。自分たちの乗っている汽車の行き先を決める重要課題だ。
現状維持派の人は、ジミーくんを引き続き選ぼうとする。改革派はどこに行くかわからないジミーくんに運転を任すわけにはいかない。他の人を選ぶという。現状維持派と改革派の言い合いが続き今にも殴り合いのけんかが起きそうになっていた。
乗客の半分の人たちは、この件に対して無関心だったが居眠りをしていた青年が急に立ち上がり、口を開いた。
「おまえらうるさいぞ。俺は、この汽車がどこに行こうがどうでもいいと思っていた。でも、それじゃあいけないと気づいたよ。誰を選んだらいいかわからないけれどこうして、自分たちで議論して、話し合うことこそ大切なことなんだと思う。俺たちは運転手を選ぶのではなく、自分自身の心を選ぶってことなんじゃないのか。この絵を見てくれ。」
そう言って、指さしたのは、「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」というタイトルの絵画でフランスのポスト印象派の画家ポール・ゴーギャンが描いた絵だ。
その絵はパラダイスなのか、それとも現実ではなく夢なのか。それが美しい国なのか。自分たちの心なのか。
この汽車はどこへ行くのか。乗客の誰もわからない。
それでも汽車は走り続ける。
気持ちよくトンネルを抜けたいものだ。









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