頭が大きく、鼻が高い
ピンクのウサギのぬいぐるみ。最近
話題になっているMOWAのキャラクターだ。MOWAは最近の他民族の心を学ぶという「心学」を教えている会社でテレビCMなどでも話題になり、全国心学ブームになった。それにより一気に急成長した。政府が給付金を出して8割負担するということが成長に追い打ちをかけた。さらに「駅前道場」という
教室展開をしていたが
インターネットテレビ電話
システムを使い、家庭でも出来る「お茶の間道場」というシステムでも爆発的ヒットを重ねていた。
代表のモンキー
ブリッジは、利益が上がるにつれ当初の志は薄れ、金の亡者へと変身してしまった。七本義ヒルズの最上階に事務所を持ち、
家具の細い扉を開け狭い通路を通り過ぎると、隠し部屋と呼ばれる大きな個室が広がっていた。その部屋は、贅沢の極みで、高価な貯蔵品から家具、電化製品にいたるまで庶民には縁の薄い桁はずれの高級品ばかりであった。窓の
カーテンを開けると
東京を独り占めしたようだった。
しかし、そんな暮らしは長続きはしなかった。政府は給付金制度を廃止したのと同時に一気に売上が減り、会社は傾いていった。他民族の
講師達は給料が未払いになり、交渉を続けていたがとうとうMOWAは破綻してしまった。
代表の隠し部屋が報道されると講師達の行き道理は頂点に達した。
美しい心を金という毒がむしばんでいったのだ。心を教えるはずの人間が心によって滅びていく。人は金によって、驕りが出ていく典型だ。
かわいいピンクのウサギにつられて軽い気持ちで心学を学び始めたばかりだった望月愛希は、ショックを隠せなかった。先払いした授業料は返ってきそうもない。失敗した。そもそもが自分たちの心にない他の民族の心を学んでいこうということ自体が間違っていたのかもしれないと愛希は思った。
日本人の心なんて古くさいし、ダサイと思っていた。しかし、他の民族の心をみんながやっているからという軽い気持ちで始め、学んでみると本当は、礼の心や仁の心など、日本人の心がいかにすばらしいかがわかった。自分の体には「日本人の心」が遺伝子の中に入っているのだ。このすばらしい「ジャパンスピリッツ」をもっと大事にして生きていくべきだと。
愛希にとって、今回の授業料はとても高いものになったが、これは人生のターニングポイントとなった。(すべてフィクションです)