東北大学の川島隆太教授によると前頭前野はつかみどころのない脳と言われている。
脳の側頭葉や後頭葉は仕事で言えば、専門職でそれぞれの部位がそれぞれの体の部位の運動や制御に司っている。
一方、前頭葉の前頭前野は仕事で言えば総合職でいろいろな筋肉の運動の指令や感情の指令を出している。つまり様々な体外からの刺激に対して判断し、処理し、指令を出している。
100ます計算で有名な陰山英男さんが校長の広島県尾道市土堂
小学校では1時間目に100ます計算等をすることによってその後の理解力や記憶力が1割から2割アップするという。これは「脳のウォーミングアップ現象」と呼ばれている。
人間だけが前頭前野という脳は人間だけが特別発達している。
他の動物はそれほど発達していないという。
人間が人間として存在できるのは前頭前野が発達していることにある。
「考える力」「想像する力」、「記憶する力」、「
学習する力」「コミュニケーションする力」、「行動や感情の制御する力」「やる気」「集中する力」「意欲」 という力は前頭前野から出る。
ではなぜ、人間だけが前頭前野を発達してきたのか。
川島教授の立てた仮説では人間の進化に関係しているのではないか。
つまり、現代の人間は「数」や「文字」を扱い、記号を操作することで文化文明を作ってきた。 そのために「人の脳は記号に特化して反応する」ようになったのかも知れない。
例えば、
赤ちゃんが非常に未熟な状態で生まれてくる。それが数や文字にふれた段階で今の人間の脳になるように脳の「遺伝子のスイッチ」が入る。そしてその遺伝子のスイッチは大人になっても残っている。それで認知症の高齢者に読み書き計算をしてもらうと症状が改善される。つまり、再び遺伝子のスイッチがONになるのだろう。
科学者 村上和雄先生(筑波大学名誉教授)によると、遺伝子の中には性格や行動の様々な要素が含まれているがそれらが全て働いてはいない。ある時にはONになり、あるときにはOFFになる。常に働いている遺伝子は3%。眠っている良い遺伝子のスイッチをオンにできれば、人間の可能性はどこまでも拡がる。
前頭前野を鍛える3つの原則は
@ 読み書き計算
A コミュニケーション
B 手指を使い何かをつくりだす
ということ。
@では黙読より音読。見ているより書くこと。複雑な計算より単純計算。
Aでは一人でいるより、会話をする。特に3人以上になると複雑なコミュニケーションとなりより前頭前野が働く。
また、対面で会話をしていると前頭前野がよく働くが携帯電話で話をしているときはほとんど働いていない。知らない人より、
お母さんと会話をする方が前頭前野がよく働く。
家族が愛情を持ってコミュニケーションすることが重要である。
Bでは
楽器を演奏したり、絵を描いたり、工作をしたり、というように何かをつくりだすこと。単純に指を動かすだけでは前頭前野が働かない。
コンピュータや
ゲームをしているときは、前頭前野が働かない。
反対に前頭前野が働かない、お休みするものは代表例がゲームと漫画。
大人が音楽を聴いたり
マッサージを受けたりしているとき前頭前野は働かない。
これは大人が気持ちいいと感じるときの状態で、
子どもではゲームと漫画をしているときが当てはまる。
スポーツの世界でもこの前頭前野機能を鍛えることで活躍している人がいる。
イチローは対向車のナンバープレートの数字4つを瞬時に足すということで前頭前野を鍛えていたそうだ。
残念ながら、アメリカではナンバーはアルファベットなので出来ないが来日するとつい癖でやってしまうそうだ。
柔道のヤワラちゃんこと谷亮子さんは身体を動かしながら、単純な計算問題に答えるという方法をとっていた。
2人に共通するのはこのように前頭前野を鍛えることで、こういうときにはこうすると瞬時に身体が判断し、「身体が動いてしまう」そうである。前頭前野が筋肉の動かす命令を出しているので瞬発的運動能力が向上するようだ。
誰でも出来る鍛え方
右手をグーの状態で前に突き出し、左手はパーの状態で胸に置く。
今度は右左を入れ替えて、左手をグーの状態で前に突き出し、右手はパーの状態で胸に置く。これを繰り返す。適度なところでグーとパーを入れ替えて続ける。
単純ですがなれないと意外と難しい。誰でも出来るので是非試してもらいたい。
また、注目したいのは、北海道大学 澤口俊之教授によると前頭前野が人徳や人格にも関係していることだ。
前頭前野を鍛えることで思いやりや人の痛みが分かる優しい心が育つという。
いま子ども達の教育現場にこの前頭前野を鍛えることを組み込んでいきたいものだ。
そうすればもっと良い世の中になるのではないでしょうか。